「自分が生み出すもので笑顔になってもらいたい」ファッションデザイナー日野有紗のブランド運営への想い

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「自分が生み出すもので笑顔になってもらいたい」ファッションデザイナー日野有紗のブランド運営への想い

今回インタビューするのはファッションデザイナー・衣装作家として活動する、日野有紗さん。ユニセックスファッションブランド「umu」を手がけつつ、CM・映画の衣装も制作されています。ブランドや服作りに込めた想いやデザイナーとして心がけていることを伺いました。

服飾学生時代に進路変更してデザイナー志望に

「自分が生み出すもので笑顔になってもらいたい」ファッションデザイナー日野有紗のブランド運営への想い

ーまずは日野さんの経歴をお伺いしたいのですが、やっぱり服飾系の学校を卒業されているんですか?

はい、私は服飾系のデザイン学科を卒業しています。でも入学時はデザイナー志望ではなく、既存の服を組み合わせて人に着てもらう仕事の「スタイリスト」になりたかったんです。

私が通っていた学校ではスタイリスト学科は3年制で、「1年目に服飾の基礎を学んで、2年目からスタイリストやデザインなどの学科に進む」形式だったんです。でも服飾の基礎を学んで服を作っているうちに、もっと服を作りたいと思うようになっていきました。

予定通りスタイリスト学科に進むと、授業でミシンをほとんど使わなくなってしまうと聞いたので、もっと本格的に服作りが学べるデザイン学科を選ぶことに決めました。

ー在学中に方向転換されたんですね。昔からデザイナー志望だと思っていたので意外でした!

もともと進むつもりだったスタイリスト学科は3年制なのに対し、デザイン学科は4年制だったんです。3年経ったら社会に出るつもりで入学していたので、デザイナーになりたいとは思っても、どうしても4年間学校には通いたくなくて(笑)。

3年間で卒業するために、2年目で本来デザイン学科の2年生になるところを3年生に進級して、夜間を使って2年目の内容を学びました。そして翌年にデザイン学科の4年目の内容を学び切って、無事3年間で卒業しました。

先生にも「おすすめはしない」と言われましたし、もちろん周りに同じことをする人はいませんでしたが、1年生から急に3年生に上がった私にもクラスメイトがすごく優しくて。早く卒業したいという私のわがままだったけれど、周りの支えがあったので無事に卒業できました。

ー4年制を3年で卒業することができるなんて…!卒業後は就職されたんですか?

ここでもまた私のわがままが発揮されるのですが…(笑)最初は大手のアパレル会社のデザイナーとして内定をいただいていました。でもインターンでその会社の店舗の販売員として働いているときに、私の作りたい服ではないという気持ちになってしまったんです。

内定をいただいたことはとってもありがたかったのですが、卒業間近のタイミングで内定を辞退して、衣装の製作会社を探し始めました。

自分の好きな服を作るにしても、大手の会社で基礎を学んでからにする方が正しいとは思いますが、どうしても「自分の好きな服を作りたい」気持ちが強くて。卒業がギリギリのタイミングでしたが、衣装の製作会社へ就職することができました。

自分が生み出すもので笑顔になってもらいたい

「自分が生み出すもので笑顔になってもらいたい」ファッションデザイナー日野有紗のブランド運営への想い

ー日野さんのブランド、umuを立ち上げたのはいつ頃ですか?

ブランドを立ち上げたのは2014年なので、もう6年前ですね。就職した年の冬ごろに給料未払いなどのトラブルが起こってしまって…。その時の経験から、退職後に「ひとりでやった方がいいのかもしれない」と思い、他の人のブランドを手伝いながら自分のブランドを立ち上げました。

最初は一点物の服を作るところからスタート。今のように展示会を開催して、受注生産を行うようになったのは2015年ごろからです。もう10回以上行っていますね。全てひとりで行っているので大量生産が難しく、なるべく在庫も抱えないように展示会もコレクション形式にしています。

でも、気に入ったものをすぐに持って帰れる楽しみもあると思うので、最近は一点物の販売も再開しています。注文する楽しみと、すぐに着られる楽しみを両方提供できたらいいなと考えています。

ーumuの服、本当にかわいいものばかりですよね。ブランドに対する想いを聞かせてください。

実は、学生時代に服作りをやめようと思ったことがあるんです。ちょうど震災が起こったタイミングで、「服作りは必要ない」と思ってしまって。極論ですが、服は最悪着れたらいいので自分が作る意味はないなと思って、学校も退学しようとしました。

でもそんなときに被災地にいる友達からメッセージが届いたんです。「震災が起こってからずっとジャージで過ごしていたけど、久しぶりに自分の好きな服を着たらすごく気分が上がった。服作りを勉強しているありちゃんに教えたくなって連絡した」と言われて衝撃を受けました。

私は「自分が生み出すもので笑顔になってもらいたい」と思っていたことを忘れてしまっていたんです。この気持ちを忘れずに服作りをしていこうと思って、今まで以上に勉強も頑張りました。

ー服作りが大好きなイメージの日野さんにも、そんな時期があったんですね…

「自分のブランドを作りたい」と思ったのも、このときから。だからumuの服を着てくれている人を見ると、いつも泣きそうです。服を作ることは人のためでもあるけど、自分のためでもありますね。

デザイナーとして大事なのは「続ける気力があること」

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ーデザイナーとしてのお仕事について聞かせてください。周りのデザイナーさんはどのようにキャリアを積んでいるのでしょうか?

やっぱり、最初の3〜4年は勉強する場としてアパレル会社で働いてから独立するほうが、スムーズだと思います。実際にそのようにキャリアを積んでいる人も周りにいます。

一方で服飾の学校に通わず、独学で学んでブランドを立ち上げた人もいますし、私も周りを見ながら自分なりのやり方で続けてきました。大事なのは「続ける気力」があるかどうかだと思ってます。私もずっとこのままだったらどうしようと思った時期もあって大変でしたが、続けてきたから今があるのだと思えます。

信念を持って続けていれば、サポートしてくれる人もいるし、私も一人で運営しているけれど実際はたくさんの人の手を借りています。

ーまさに「継続は力なり」ですね。年間の仕事スケジュールは決まっていますか?

2019年までは半年に1回ペースで展示会を開催していました。5月ごろに秋冬物の展示会、秋頃に受注分の服をお届けし終わったタイミングで、翌年の春夏の展示会を開催するサイクル。今年からはペースを明確に決めずに、展示会やポップアップストアを開催しようと試行錯誤中しているところです。

ー初夏の服を作りながら、秋冬の展示会準備をするのは大変ですよね。1日の動き方はどのようになっているのでしょうか?

毎日バラバラですが、一つの例としては「9時ごろに起きて、午前中はパソコンで資料を作ったり経費計算をしたりなど事務作業をする」パターンが多いです。製図やミシンを使ったりする製作作業は午後から始めますね。打ち合わせやフィッティングがあれば、外に出かける場合もあります。仕事が趣味のようなものなので、夜まで作業することも。

ー衣装製作の依頼はどのように受けているのですか?

umuの服を貸し出すこともありますが、映画やCM撮影で使用する衣装を製作することもあります。ある程度イメージが決まったものを作る場合もあれば、デザインを考えて提案することも。

アシスタントをしていたブランドのデザイナーさんや、作品撮りでお世話になったヘアメイクさん、地元の先輩などお世話になった人のつながりで紹介していただくことが多くて、続けることの大切さを実感しています。

服を着てもらったときも、作っているときも楽しい

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ー大好きな服に携わる仕事をしている中で、大変なことはありますか?

CMの衣装製作の期間を1〜2週間いただいていたのですが、直前のフィッティングが終わってから修正依頼がきたことがあって。撮影の前日だったので急いで直したのは大変でした…(笑)

あとは一人でブランドを運営しているので、イメージ写真の撮影や展示会のフライヤーのデザインなども全部自分でやりたくなってしまうこと。最初は自分で全部行っていたので、今見てみると恥ずかしいクオリティですね。

素晴らしいクリエイターがたくさんいるので、今は外部に頼むことが増えました。私は服作りに集中した方がいいことはわかっているけど、自分で撮影やデザインもできるようになりたいなと思ってしまうことはあります(笑)

ーではどんなときが1番楽しいですか?

楽しい瞬間や嬉しいことがたくさんあるので1番を決めるのは難しいですが…。展示会に来た方が「これいいな」って笑顔になってくれた瞬間ですね。自分の作った服で誰かが笑顔になることがこの上ない幸せです。

服が完成して自分で着てみた瞬間も好きですし、撮影でモデルさんに着てもらったときも楽しい。もちろん作ってる最中も楽しくて、ミシンを使っているときがストレス発散になっているほどです(笑)

ーファッションブランドを運営する上で気をつけていることはありますか?

自分がかわいいと思える服を作ることはもちろんですが、着ていて無理がない服を作るように心がけています。経験上、かわいいけど試着したときに動きづらいものもあったので…。

展示会では着てもらうだけで嬉しい気持ちを忘れないようにしています。自分から「買ってほしい」と伝えることはしません。ファッションブランドを続けることは大変だから買ってほしい気持ちもわかるけど、押し売りなどはせずに、お客さんを嫌な気持ちにさせないことが1番です。

ー最後に今後の展望を聞かせてください。

今は定期的に展示会やポップアップショップを開催していますが、ゆくゆくは服作りをしながら作った服を見てもらえるアトリエショップのような場所を作れたらいいなと思っています。

実際に服を作っているところを見てもらったり、ただ話をするために来てもらったりするだけでもいいような気軽に遊びに来られる空間がいいですね。服だけではなく、クッションカバーやラグなどの生活雑貨も作りたいし、好きなクリエイターさんの作品も置いたりしていろいろな楽しみ方ができるような場所。

期間限定の展示会だと、来てくれるだけで嬉しいのに「来たからには買わなきゃ」と思ってしまう人もいるようなので、「また来るね」と言える場所が作れたらいいなと思います。

日野有紗さんのブランド運営への想いを聞いて

日野さんは本当に服が好きであることが、ひしひしと伝わってくる取材でした。お客さんのことを考えつつ、自分の作りたい服に全力で愛を注いでいている姿はとてもかっこいいと感じます。今まで以上にumuの服が大好きになりました!

日野有紗さんプロフィール

日野有紗

「自分が生み出すもので笑顔になってもらいたい」ファッションデザイナー日野有紗のブランド運営への想い宮城県気仙沼市生まれ。高校卒業後上京し、東京モード学園に進学。その後オーダーメイドの衣装作家やファッションブランドでのアシスタントを経て「umu」を立ち上げる。ブランド運営のほか、映画衣装やCM衣装、ステージ衣装などの制作も手掛ける。

 

この記事を書いた人

伊藤 美咲
ステキな人やモノを広めるフリーライター。1996年東京生まれ、東京育ち。関心のあるジャンルは働き方・ライフスタイル・美容・邦ロックなど。

Source: TRANS.Biz

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